「さぁ“肉”にするか」
永原は黙って監禁部屋を出て行った。
鉄格子の扉に鍵がかかっていることを確認する。
赤い光沢のあるトランクから、そっと抱き起こし白い床に寝かせた。
いつもなら“ごっこ遊び”をする為に目を覚ますのを待つが、今回は起きる前に絞め殺す事にした。
白い床に横たわった黒子愛美に“きおつけ”の形をさせ、暴れられない様に馬乗りになった。
綺麗な黒子愛美の顔を見下ろすと、自分の視界にストールが見えた。
そのストールは自分が身に着けていた物。
首からストールを取ると、足を縛るか、首を絞めるのに使うか…悩んだ末、目隠しに使う事にした。
包帯の様に何十にも巻いて目隠しをした。
目隠しをする際に何度か呻いたが、起きる気配は無い。
睡眠薬を飲まされているのかと思ったが、黒子愛美の口から漏れる吐息でこの深い眠りの正体が解った。
強いアルコールの飲みすぎで泥酔しているだけ。
全ては口臭が物語っている。
個室で酒を飲んでいる時に、酒に弱いと言っていたのを思い出した。
こんなになるまで何処で飲んだんだか。
呆れてものも言えない。
「ん~…」
夢で何を食べているのか、口をモゴモゴ動かしている。
そろそろ殺すか…。