俺は急いで玄関扉を開けた。

「おはよ」

永原は眠そうな顔で俺を見た。

「仕事帰りか?」

ドレスにコートという格好でトランクを持って来る事は、今回が初めてだった。

「詳しい話は中でするわ」

そう行って永原はあくびをしながら、家の中へ入って来た。

「で、今日はどうしたんだ?こんな早い時間に」

トランクを持って階段を下りながら聞く。

「それがさぁ、帰る途中で偶然見つけたの!公園のベンチで暴睡してたから、そのままトランクに入れて持って来ちゃった」

俺の後ろを歩く永原は「凄くない!?」と何度も聞いてきて煩い。

鉄格子の扉を開け、鍵を閉めてからトランクに手を掛けた。

すると妙な胸騒ぎがした。

開けたら中に蒼井が入っているんじゃないか…。