「いや違う。女の肉を喰うんだ」

「冗談やめてください!」

エリカの細い眉がグッと寄った。

「冗談じゃない」

「そんなビジネス、お断りします」

「そっか。それは残念だ。…勿論この事は他人に言うな。アンタ綺麗だから喰ってやってもイイ」

それだけ言うと俺は席を立った。

歩き始めて後ろに振り返った。

「気が向いたら電話くれればいい。俺はいつでも待ってる」

そう言い残し店を出た。



それから数日後エリカ、いや、永原雅から電話が来て契約を結んだ。

そして今に至る。

結局あの話は嘘で、両親も弟も生きている。

永原は単純に金が欲しいのだ。

「ふぁ~もう寝るか」

俺は隣で眠っている蒼井に背を向けて、意識を手放した。