エリカの表情が曇った。

「世の中、お金が全て。少なくとも私の人生はそうだった。家が貧乏で母さんの手術台が出せなくて、母さんは死んだ。父は借金の返済に追われて自殺。弟は強盗や窃盗で檻の中。私は父の変わりに借金を返済している。だからどうしても…お金が必要なの」

エリカの綺麗な仮面の下には、1人の女では抱えきれない程の悲しい過去があった。

俺は力無く笑うエリカを見て、無意識に下唇を噛んでいた。

そして俺はエリカを助けたいと思った。

もし今言った事が全て金を巻き上げる為の嘘であったとしても、エリカに手を差し伸べたかった。

「そんなに金が必要なら俺と…ビジネスをしないか?」

最初は俺が人肉を喰う為に、エリカを巻き込みたくなかった。

…いや、巻き込みたかったからビジネスの話を持ち掛けたのかもしれない。

今の俺にはエリカの客として店に来ようという頭は無かった。

「ビジネス…ですか?」

「あぁ。俺の為に月に一回、女を俺の家に連れてきて欲しい。大金と交換だ。条件として綺麗な女を気絶させて誰にも見つからない様に持ってきて欲しいんだ」

「…誘拐ですか?」

俺は黙って頷いた。

「…ユウマさんは女性をどうするんですか?」

「喰う」

その一言でエリカの顔は一瞬で引き攣った。

「…レイプ、ですか?」