俺は一度持ち上げたグラスをテーブルに戻した。

彼女はちびちびと飲んでいる。

「もう貴方に私は必要無いわ。これからは自分の力でナンバー1を目指すの」

陽子さんは俺の手を握った。

「私はこれからも毎週くるけど指名は、さっき会った長髪の子」

その言葉でさっき俺に用件を伝えに来た新人の青年だと分かった。

「でもアイツはまだ、陽子さんの相手が出来るほどの事を教わっちゃいない」

「貴方も」

陽子さんは俺の唇に人差し指を当てた。

「貴方も最初はそうだった。私はあの子を磨きたい。ユウマみたいにナンバー2にしたいの」

陽子さんは自分の指名した男が成績を上げていくのを楽しんでいる。