中へ入るといつも一人で来ている陽子さんの隣には、黒髪の女性が俯いて座っていた。
俺が隣に座ったことを確認すると、陽子さんは隣の女性の紹介を始めた。
「この子は私の会社の部下で、名前は黒子愛美(クロコマナミ)。結構可愛いでしょ?」
陽子さんは自分の娘の様に自慢げに言った。
「うん。とっても可愛い。黒髪も綺麗だし」
俺は陽子さんから視線を外し、視線を自分の膝に乗せた白い手に向けている彼女を見た。
様子を見ただけで、ホストクラブに来るのが初めてだと窺える。
俺は3人分のハイボールを作り、陽子さんと彼女の前に置いた。
「ユウマ、しばらく貴方を指名はするのは止めるわ」
ハイボールを一口飲んだ陽子さんが言った。
「えっ何で急に…」



