赤いトランクを愛車に投げ込み、運転席に座った。

人が殺されるのを目の当たりにして手が震えている。

純は今まで買った女で淫らに遊んでいるのだと思っていた。

でも違った。

純は買った女を牛や豚の様に食べていたのだ。

知った時は腰が抜けるほど驚いたし、純に対して恐怖心が生まれた。

車のダッシュボードからメンソールの煙草を取り出す。

白いフィルターに包まれた煙草を口に含み、火を点けた。

運転席の窓を少し開け、星空に向けて口をすぼめて白い煙を吐き出す。

「ビジネスパートナー…かぁ」

声に出して、胸が締め付けられた。

純が人を殺す事に恐怖を感じたが、そういう悪い男も魅力的だと思った。

私は純が好きだ。

ギアを入れ、アクセルを踏む。

一人暮らしには大き過ぎる家が、バックミラーの中でどんどん小さくなっていく。

そしてハンドルを右に切り、完全に家が見えなくなった。