うずくまった女の前にしゃがみ込む。

「自分の立場分かってんのかァ?よく“寝る”なんて言えたな」

半笑いで蔑み、髪を掴んで上に顔を向かせる。

ほぼ真上に向かされている女は俺を見下す様に睨む。

「男なんてみんな単純だからよっ!」

最低な女だ。

「やっぱり寝てたのね……」

いつの間にか鉄格子の向こうに永原が立っていた。

その瞳には女に対する怒りや憎しみ…負の感情が宿っていた。

「私の客を寝取ってたのね!」

永原は声を震わす。

「そーやってナンバー1になっていくのよ!…アンタだって同じ事してるでしょ!?」

女は頭皮の痛みに顔を歪めているが、口元には不適な笑みを浮かべている。

「私は寝取ったりなんかしてない!!…私は実力でここまで登り詰めたのよっ」

鉄格子を両手で握り、ヒステッリクに叫ぶ。

「この男も客?それとも私を殺す為の殺し屋?」

「どちらもハズレだ」

永原が言葉を発する前に俺が口を開いた。

と、同時に髪を思いっ切り引っ張った。