目を覚ますと私の世界は半分に分かれていた。

右側は黒、左側は白。

そして漂う生臭い鉄の臭い。

慌てて起き上がる。

体中が悲鳴をあげた。

「何これ………」

唖然とした。

私は内側が黒いトランクに膝を折る様に納まっていた。

「何ここ………」

茫然とした。

私は檻に閉じ込められていた。

部屋全体が白く、大きな部屋は茶色く錆び付いた鉄格子で2つに分けられていた。

鉄格子の向こうには何処かに繋がる白い扉が見える。

そして気が付く。

閉じ込められているのは私1人ではないと…。

私が入っているトランクの横で1人の男性がうつ伏せで倒れていた。

「あの…大丈夫ですか?」

トランクから出て、男性の左側にしゃがみ込む。

少し肩を揺すると男性は呻きながら、ゆっくりと体を起こした。

「大丈夫ですか…?」

返事が無いので、もう一度聞いた。

「…なんとか」

自分の膝あたりを見ながら答える。

左手で頭を押さえ、顔をしかめる男性は大丈夫な様に見えない。

「…本当に、大丈夫なんですか?」

「頭を殴られたみたいで…ズキズキ痛みます」

やっぱりこの人も拉致られたんだ。