そろそろ女が目を覚ます頃なので監禁室に戻る。

「永原は静かにここで待ってて」

監禁室の前で永原にストップをかける。

いつもは金を受け取り足早に帰ってしまう永原。

「何でよ?」

腕を組み偉そうに言う。

「永原が行ったら女が暴れだすだろ?名前を聞き出すんだから大人しくしてもらわなきゃ困るんだ」

「ふ~ん。早くしてよね」

「それはあの子次第だ」

永原を残して俺は監禁室に入った。

鉄格子の扉を開け、まだトランクの中で眠る女に近寄る。

頬にかかる少し長い前髪。

手を伸ばし耳にかける。

すると女の瞼がピクピクと動いた。

そしてゆっくりと瞼を開き、慌しく瞬きをする。

この状況と記憶を探っているようだ。

買った女のその殆どは目が覚めると同じ行動をする。

そして拉致されたと気付き、勢い良く上半身を起こす。

そこで漸く自分体を見てトランクの中に居る事を知る。

目の前の女もたった今、同じ状況に陥った。

そして俺には気付かない。