「困らせたい訳じゃないの…ごめん。でも私は純に女を売るだけで、純の生命を繋いでるのは、私じゃない別の女」

「何でそんな事、言うんだよ…」

鼻の奥がつんとして、それを隠す様に雅を強く抱きしめ、首筋に顔を埋めた。

「雅のお陰で俺は生きてるんだよ。雅が居なかったら…俺の所に誰が肉を持って来てくれるんだよ」

「でもそれは誰にでも出来る。私は…私の肉で」

「誰にだって出来る仕事じゃない!雅だから俺の好みの女を……!!」

あっ…。

「それが嫌なのッ!!彼女である私が彼氏の喜ぶ女を連れて来なきゃいけなんて…!!」

仕事上の関係が先だったんだから仕方のない事…とは言えない。

彼女である雅の気持ちを考えなかった俺が悪いのだろう。

「…悪かった」

俺の目から零れた涙が雅の鎖骨に落ちた。

「っ!…ごめんなさい!困らせるつもりは無くて…」

俺の涙に気付き雅が慌てる。

「俺は雅を一番に想ってる。だから失いたくないんだ。…でも考えておくよ」

雅を食べるか考えておく……俺にそんな事出来るのか?