月明かりのお陰で庭に掘られた楕円形の穴がしっかり見えた。

秋菜が膝を抱えて入るなら丁度いい大きさだ。

シャベルを庭に投げ、ゲストルームで血だらけのシーツにくるまる秋菜を庭に運ぶ。

死んでしまうと軽かった秋菜はとても重かった。

死後硬直が完全に始まっていたので、予め膝を抱えた形にしておいて正解だった。

ゆっくりと穴の中に下ろす。

穴の大きさと深さは問題無いようだ。

再びシャベルを掴み、土を秋菜の上にかける。

血だらけのシーツはあっという間に土に埋もれ見えなくなった。

穴に入らなかった土は秋菜の体積分。

残った土で長方形に整え花の種をまいた。

“綺麗な桜の木の下には死体が埋まっている”

きっと綺麗な花が咲くだろう。