ジャージに着替え、庭に置いてある倉庫からシャベルを取り出し、ついでに花の種も取り出した。

子供の頃を思い出す。

身体中泥だらけにして落とし穴を作った。

公園の砂場に作った落とし穴に人が落ちるのを見たくて近くの茂みに隠れていたが、いつも落ちるのは野良猫だった。

しかもその野良猫はジャンプして落とし穴から脱出してしまう。

それだけ落とし穴が浅かったのだ。

だが今回は落とし穴ではなく人を埋める為に掘っている。

秋菜は小さいから穴は大きくなくて済むが深さは落とし穴以上にしなければならない。

汗をかきながら作業を続ける。

「はぁ~…いってぇーなぁ」

作業を続ける腕や腰が痛む。

腕はパンパンになり中腰で作業をしていた腰は痺れるように痛い。

作業を止め背筋を伸ばして腰をポンポンと叩く。

畑仕事をしているお爺さんのようだ。

「こんなもんか…?」