アキナから連絡が来たのは、翌日だった。

「本名は目黒って言うんですね」

表札を見つめて呟く。

本名を知って驚いたりしないのは、気を遣っているのか?

それとも、ただ事件を知らないだけか?

「どうぞ」

玄関を開けて、中へ誘導する。

「お邪魔しまーす」

ヒールを揃え、家に上がる。

礼儀は知っているみたいだな。

とりあえずリビングに通す。

抵抗も無く、この家に入れるという所を見ると、事件の事は詳しく知らないようだ。

珈琲に砂糖とミルクは入れるか、と聞くと、飲めないと返ってきたので紅茶を淹れた。

「ありがとうございます。………美味しいですね、この紅茶」

アキナの表情を見たところ、本当に美味しいようだ。