永原は真っ直ぐな瞳で俺を見つめた。

俺はその瞳に吸い寄せられる様に顔を近づけ、唇を重ねた。

「アキナはどうするの?…このままじゃ二股よ?」

唇を離すと永原は不安げに聞く。

「アイツは明日にでも殺す。もう俺には必要ない」

名刺を渡したから、後で連絡が来る筈だ。

そしたら家に招き、地下室で肉片にしてやる。

何故殺すのか、永原は聞かなかった。

俺の食料になると知っているから。

「ねぇ…今朝は途中で逃げ出してごめんなさい」

俺が酒を飲み干すと、突然頭を下げて謝った。

「謝るのは俺の方。雅が居なくなったのにも気付かないで、作業してて…」

悪い、と言って抱き締める。

「狂った俺…怖かったろ?……もう怖い思いさせないから」

永原の細い体を抱き締める腕に力を込める。

永原は何も言わないで、俺にしがみついてきた。