永原はアキナが消えた方を少し眺めた後、再び歩き始め俺の右側に座った。
永原は無言のまま酒を作り、俺の前に置く。
気まずい沈黙。
「あのさ…」
沈黙を破ろうと口を開きかけ、言葉を発する前に永原が声を出した。
「あの子と付き合ってるって…本当?」
遠慮がちに聞く。
「うん」
「止めた方がいいよ。……さっき“ナンバー2って言ってもニコッてすれば簡単に堕ちる”って言われた。アイツ…純の事好きじゃないよ」
永原は何も悪くないのに、最後の一言はとても申し訳なさそうだった。
「そんなこと最初から分かってるよ。それに俺、あーゆータイプ嫌いだから」
さらりと言ってみせる。
「はっ!?じゃ、じゃぁ何で!?」
「俺の言う事聞くって言ったからさぁ…」
「それだけ!?」
永原は呆れた様に笑った。