「やぁーーん!!嬉しいぃ」
黄色い声を出して俺の左腕に絡み付いてきた。
「今日、何時に終わる?」
「えーっとぉ…日によって違うから、終わったら連絡する」
「わかった。…これ番号ね」
ジャケットの内ポケットに入っている名刺入れから仕事用の名刺を一枚取り出し、アキナに渡す。
「あ、エリカさん来た。…後で電話するね」
遠くから此方に向かって歩いて来る永原を見つけ、席を立った。
俺に手を振り、アキナは永原に走り寄った。
アキナは永原に何かを囁いている。
永原はアキナの言葉を聞いて一瞬、信じられないとでも言う様な表情を浮かべた。
だが次の瞬間にはアキナを睨んでいた。
アキナはそんな永原の反応を見て、誇らしげにニヤついている。
ここからでは上手く聞き取れないが、多分彼氏が出来たと伝えたのだろう。
アキナは満足したのか、永原に軽く頭を下げて店の奥に姿を消した。



