「ここだ。」




長い廊下を歩いて風雅はある部屋の前で止まった。




風雅が襖を開けようとしたとき。













「風雅。」




きれいで透き通るような声が聞こえた。




呼ばれたのは風雅なのに思わずあたしも振り向く。




黒髪を結い上げ、着物をきちんと着こなした綺麗な女の人がいた。




「おかえりなさい。」




「あぁ。」




女の人の呼び掛けに風雅は素っ気なく答える。




「そちらの可愛い子は?」




女の人の視線があたしに向けられる。




「怪我してる。今日からここに泊める。」