「それが理由?」




「……へ?」










「心の中心になる人ができたとして、馨がもしいなくなったとき泣かせることがないように?」






あたしの問いかけに馨は固まる。






死と隣り合わせの世界で、もし自分が死んだとき自分の中心に誰もいなければ命をはってこの世界にはいってゆける。



誰の中心にも自分がいなければ誰も本気で悲しむことはない。











「大切な人がいなくなったときの悲しさはよくわかってるつもり。身を引き裂かれる思いで、どうしたらいいのか分からなくて、本当の現実を受け入れられない。」