「…俺さ、千堂組の時期組頭なんだ。」
「……千堂組。」
「古城組の傘下。だから風雅とは幼馴染み。風神の中でも一番付き合いが長い。」
はじめて知る事実に軽く目を見開く。
「俺、自分の中の中心になるやつをつくるのが怖いんだ。」
馨は自傷的に笑った。
「ちっさい頃から裏の社会を見てきて。そんな中でいつの間にか見えなくなる顔もあるわけよ。ガキだったあの時の俺にはそいつらがどこに行ったのかなんて知るはずもなくて、引っ越したんだろう的な考えしかなっかた。」
バカだよな。と笑いながら馨は恥ずかしそうに頬をかいた。
極道の世界がどんなものかなんてあたしには分からない。でも引っ越したなんて理由で片付く世界じゃないことは分かる。
きっとその人たちは…
「……今はもういない奴らも思って泣くなんてことはしない。こっち側の人間はみんな覚悟できてるしな。だからこそ、泣くなんてお門違いだと思うんだ。」

