まだ彼女はここにいる。 俺たちのそばにいる。 それは、自分の腕に彼女を抱いているときずっと噛み締めていた事実だった。 眠っている彼女の頬をそっと撫でる。 起こしてしまわないように優しく、存在を確かめるようにと何度もふれた。 いやでも目にはいる包帯は、自分への忌ましめとしてこの目に焼き付けておこう。 「守ってやるよ……絶対に」 新たなる決意を胸に彼女の頬から手を放す。