「お前、弟は大事か?」
耳元で囁かれた言葉に俺は目を見開く。
「………昌人に何しやがる。」
今までで一番低く憎悪がこもった声が出た気がした。
しかし、俺の言葉に黒沼は先ほどから変わらない笑みを浮かべたまま言う。
「別に、何もしねぇよ。お前が俺の言う通りにすればな。」
そこからはもう反論なんて出来なかった。
黒蛇に入り情報管理を全て任され、副総長という立場を与えられ、喧嘩の腕も上げた。
昌人や勝広に会う時間なんてほとんどといっていいほどなくなったが、それ以上に守りたいという気持ちの方が強かった。
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