「俺らを信じるか…」
周りはうるさかった、もしかしたらあたしの聞き間違いかもしれない。
でも、あたしには風雅がこう言った気がした。
無意識だった。
あたしはゆっくりとけれど確かに首を縦に降った。
「………来い!」
風雅のあたしに向かって差し出された手。
それを見た瞬間、あたしは弾かれたように動き出した。
油断している黒沼の手を振り払い、力を振り絞って精一杯風雅の元へ走った。
後先なんて考えなかった。
ただあの差し出された手は思い出せなかったあの時の夢の人影と同じなんじゃないかと思ったから。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…