「お利口さんじゃねぇかよ。」
「……。」
あたしは無言で黒沼を睨む。
バシンッ!!
狭い部屋に音が響く。
じわじわと頬が熱くなる。
「いっちょ前に睨んでんじゃねぇ。」
あぁ、叩かれたんだ。
あたしは右手で叩かれた頬を押さえる。
この部屋でこの男と二人きりなのに、あたしの頭はいたって冷静だった。
「泣きわめかねぇとこは、さすが風神の女だな。」
こんな奴に誉められても何も嬉しくない。もう一度叩かれること覚悟であたしは黒沼を睨む。
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