「分かんない?」



「…ごめんなさい」



なんだか分かんないけど、しょんぼりと俯いてしまう。



(…私、何かした…?)



「一週間」



「…?」



「一週間、だよ。もう」



「う、うん…?」



「玉木さんが、絵に夢中になるのは分かるけど、一週間もモデルを放置?」



一週間。


そうか。


そんなに、経っていたのか。



「せめて、美術室に入れてくれてもいいんじゃない?」



ゆっくりと吊りあがった眉が、彼の怒りを表している。


(そ、そんなの、出来ないよ…!)


だって、一週間。



つまりは、その間ずっと、橋本くんのことを考えていたということだ。



その本人が、近くにいるなんて、集中しようにも出来ない自信がある。



「…本当に、俺をここまで追いつめるなんて、誉めてあげるよ」



そういって、橋本くんがゆっくり近づく。



(…あ。綺麗…)



榛の瞳が、どんどんと透明になっていくみたいだった。



(やっぱり、色で表現できないくらい、綺麗…)



うっとりと、見つめていると、彼がふっと囁いた。



「…これは、俺を待たせた罰だよ…」



ゆっくりと、頬の輪廓を撫でられる。


くすぐったくて、身を捩りたいが、目が離せない。



それから。





「…んぅ…!」


唇に、いっぱいの熱。



耳の後ろから、押さえつけられる。


するり、と抵抗すら知らない口を割り、橋本くんが、中を支配する。



(く、苦しい…)



目を閉じるのも忘れ、見つめあったまま、唇を合わせる。



軽いリップ音の後に、くすっと彼が笑う。



「…玉木さん、やっぱり視姦が趣味…?キスの時には、目は瞑るものだよ…」


それから、瞼の上から手のひらで、強制的に目を閉じられる。



「…いい子…」


そして、またくちゅり、と唇を食べられる。