「…ひっ…」
ぽとぽと、と涙が溢れる。
「…ぅっ、ひっ…うわーんっ!!」
どうしよう。
どうしよう。
好き、好きになっちゃってた。
「ぇ、えっ!?玉木さん!?」
ごめんなさい、橋本くん。
ごめんなさい。
「ど、どうしたの?そんなに、嫌だった?」
橋本くんが優しく話しかけてくれるのに、返事も出来ずにわあわあと、声をあげて泣き続ける。
「…よ、よしよし。大丈夫、大丈夫だから」
「うぇええぇんっ!」
「とりあえず、深呼吸だよ。玉木さん。ほら、吸ってー、吐いてー」
「ふぅう…っ!」
「もう一回、吸ってー」
何度も、何度も深呼吸を繰返して、やっと落ち着いた。
「…ひっく。ご、ごめんなさい、橋本くん」
泣きすぎて、目がひりひりと痛む。
「…どうかしたの?玉木さん」
まるで、小さい子にするかのように、ゆっくりと背中をさすってくれる。
「…ごめんなさい」
「言いたくない?なら、いいよ」
言いたくないんじゃ、ないよ。
言えないだけ。
「…橋本くん。お願いが、ある…っく…の…」
言えないから。
せめて。
「絵、が、できたら…っ…い、一番に見てね…?」
好きは、絵の中に閉じ込めてしまおう。
「い、い…っひぅ…一生懸命、か…描く、から…っ…」
「うん。ありがとう」
そして、髪の毛を一筋掬って落とした、橋本くんが、何よりも優しい顔だった。
でも、やっぱり、色で表現ができないくらい、綺麗で。
この感情を、絵に込められるかどうか不安になってしまった。
