その日の夜


私はお姉ちゃんの部屋にいた。


「ねぇ、お姉ちゃん。」


「何?」


「元彼にもらったものとかどうしてる?」


「っ…。」


お姉ちゃんは目を逸らし、デスクに向かった。



「捨てられないよ。」


「っ…。」


背を向けたまま答えるお姉ちゃん。



「男の人はどうか知らないよ?でも私は無理だなぁ。」


「…。」


「でも、涼が元カノからもらったものを持ってたらイヤかもね。」


「それ我儘じゃん‥。」


「ははっ。でも人間そんなもんでしょ?自分は特別。他人がしたら気にくわない。」


「…。」



でもそれは一理あるかもしれない。



「じゃあ、もらったものを身に着けることはある?」


「それはないな。大事にしまってはおくけど、身に着けたりはしない。」


「…。」


「身に着ける人は未練があるとしか思えない。」


「っ…。」



まさか…。



でも振ったのは晃平だよ?