【短編】疲れた時には③

北川主任に話をしてなんとか5日待ってもらう事になった。

気合いを入れないと
両手でぺちんと頬を叩いてみた。
気合い、気合い

――クス――

エレベーターホールの端で煙草を吸っている田川君の姿が目に入った。

気にせず、ボタンを押す。

「綺麗な肌に傷がついたらどうするんですか…」

近くに来て、頬に手を伸ばして来る彼を冷静に見つめる私。

彼の手が頬に触れるのと同時にエレベーターのドアが開く。

「あなたには関係ないわ、忙しいから、離して。」

そう言って片手で彼の手を振り払った。

一瞬、傷ついた顔をしたけれど、無視してエレベーターに乗り込んだ。