藤井先輩と私。


「橋宮が許したの?」


「うん」


梶瀬くんは、なにやら信じられないみたいな顔をしている。


「俺も迷わず聞けばよかった…」


「ん?何か言った?梶瀬くん」

「いや、なんでもない。じゃ帰ろう」


梶瀬くんは私の手を引いて歩き始める。


「ちょい待て、梶瀬」


「きゃあっ先輩っ!!」


無理やり私と梶瀬くんの間に藤井先輩が割って入ってきた。


「なにするんだよ。オッサン」
「なにがオッサンや、年上やけどオッサンやないわ!」

「ちゃんと“さん付け”してるし“御(お)”も付けて敬ってるだろ」


また口喧嘩が…。


「藤井先輩、梶瀬くん!3人で仲良くかえりましょ?」

たまらず私が言うと、2人はおかしいぐらいに納得して、私を真ん中にして歩き始めた。