「早く、陽依の前から消えて!梶瀬、引き際も肝心よ」
私がそう言い捨てると、梶瀬は黙って教室から出て行った。
「大丈夫?陽依」
「ふぇ……ユカぁ~」
それから小一時間、陽依は教室で泣いた。
「梶瀬君…怖かった」
泣きやんでから、陽依が最初に言った言葉。
「梶瀬君のあんな顔、見たことなかった」
震えながら、私の袖を握る陽依が愛くるしかったけど、ここはちゃんと言ってあげないといけない。
「それはあんたのせいでしょ?」
「なんで?」
ったくもう。
まだ分かってない。
ま、いいか。
「そのうち分かるわ。っさ、帰ろ!」
「うん!」
それから、春休みを迎えて、高校に入学し、今に至るってわけ。

