「俺は、ずっと………橋宮が!!」


私は、教室のなかに走った。


「きゃっ…」

陽依の小さな悲鳴が、私の心にこだまする。


梶瀬は、陽依の両肩をつかみ、自分に引き寄せ、あろうことか陽依の唇を奪おうとしたのだ。




私の陽依になにすんじゃオラー!!!




「やめて…梶瀬くん!」

「なんで!!俺を見てないんだよ…」




間に合え!

教室がすごく広く感じる。




梶瀬の唇が陽依の口にたどり着くまで、



あと3秒。





2秒。







1秒。




「イヤー!」

「どけ!カス!」




タッチの差で、私の鉄拳の方が、梶瀬の顔にめり込むのが早かった。


見事にずっこける梶瀬。