「藤井先輩、言っときますが、あの子相当鈍いですよ」




風になびく赤茶色の髪をかきあげてユカは言った。



「………知ってる」



いじけたように、藤井は答える。


「あー、先輩。告白流されたんですもんね」

先に言っておくが、この涼しげな顔をしているユカと、拗ねた顔で突っ立っている藤井は、今日が初対面である。


「なにをっ!」


「好きなら好きって言わないと、一生あの子には伝わらないですよ」