約1分ほど観察を続ける。
…観察というより、怖気づいてるだけだけどね。
どうしよう。
来たはいいけど、なかなか屋上の中に足を進める事ができない。
「いつまでそうしてるつもりですの。そこにいるのは分かっているのです。出ていらっしゃいな」
腕を組んで後ろを向いたままの楠木さんが、さも後ろが見えているかのように、私に話しかける。
それでも出てこようとしない私に苛立ったのか、楠木さんは右足を少し上げて勢いよく地面に下ろした。
ダーンッ!!!
凄い音。
楠木さんの足元のコンクリートは、おもいっきりへこんでいた。
………出て行かないと殺される!
私はすぐに楠木さんの前まで走って土下座した。
「すいませんすいませんごめんなさい申し訳ありませーーーん!!」
「…面を上げぃ!」
…水戸黄門!?

