藤井先輩と私。

 

夜露…夜露死苦!?



そう言えば、こんな手紙前にも…。

あっ

先輩の妹さん、杏奈ちゃんからのメールのときも、同じような文章だった気がする。

まぁ夜露死苦は付いてなかったけど。


来なかったら……って、行かなくても行ってもなんかありそうだよね。


うぅー。



前に屋上で楠木さんと二人きりになった時は大変だったなぁ…。


まさかヤンキーだとは思いもしなかったし、あの豹変ぶりはもうアニメや漫画の領域だよ。



屋上…。



窓の外を見ると、木々を秋風が揺らしていた。




「屋上で一人まってるんだ…楠木さん」



寒いのに、一人で待ってる姿を想像した私は、ふぅっと息を吐くと、意を決して屋上へ続く階段を上りはじめた。



どうか、豹変していませんように。


怖い事されませんように。




そう願いながら階段を一段一段上がっていく。



階段を登り切った先を少し歩くと、屋上へと続く扉がすでに開かれてあった。



「……もう後戻りはできないんだよね」



徐々に足取りが遅くなっていく私。


開いている扉の陰にそっと隠れて屋上の様子を探ろうと、扉の窓から顔を半分だけ出した。



視線の先に、10メートルほど先に腕を組んで立っている楠木さんの後ろ姿が見えた。