帰り道。
夕陽が照らす歩道をとぼとぼと、自分の足元を見ながら歩いていた。
はぁ…
靴箱から、ここまでずっと口から出るのはため息ばかり。
前を向いて歩こうとするけれど、気分が落ち込んでしまっていて自然と頭は下を向く。
「はぁ……」
何度めのため息なんだろう。
誰かがため息つくとその分幸せが逃げて行くって言ってたけど、もう私にはため息つきすぎて、幸せは一かけらも残ってない気がする。
「ため息つくと幸せ逃げるよ。橋宮」
「だよねぇ…」
ほんと、そうだよ。
ん・・・
あれ・・・
この聞き覚えのある声は…
顔をあげると同時に、私はその人の名前を叫んだ。
「梶瀬くん!!!?」

