夏も終わりとはいえ、空はまだ明るかった。


図書館を出た私達。


「先輩は駅方向だから、あっちですよね」


図書館から私の家と、駅までの方向は真逆。


「では、今日はありがとうございました!助かりました」


私はぺこりと頭を下げて、宿題たちがはいった重たい鞄を持ち直すと、自分の家に向かって歩き始めた。


「俺もこっちから帰る」


先輩は私の隣に立ち歩いている。

駅向こうなのにどうして?

遠回りになっちゃうよ。


「最近運動不足でなぁ、こっちから帰ろうって思ってたんや」


「そうなんですか」



「陽依ともっと一緒にいたいしな」


「えっ?先輩今何か言いました?」


ちょうどトラックが鳴らしたクラクションの音で先輩の声が聞き取れなかった。


「いや、なんでもないねん」


なんて言ったんだろう。

すごく気になる。


先輩は頭をかいて、私のまえをスタスタ進んだ。


あっ、その道間違ってる。


「先輩っ!待って」


先輩は私の声が聞こえていないらしくて、ずんずん前に進んでいく。


閑静な住宅街。

高そうな家々が立ち並ぶ。


きっとすごいセレブが住んでるに違いない。


ジュディみたいに、金髪で美人で、宝石とかいっぱい身につけてて…

あ、ジュディは宝石身につけてなかったか。



そしてふと、わたしはユカに言われたことを思い出した。