先輩に数学を教わり始めて早3時間。
もう数学が終わって英語を教わってる。
先輩の教え方が上手で、私はどんどん課題がおわっていった。
苦手教科がこんなに早く終わるなんて思ってみなかったよ。
あと2日。
余裕だね!
っていうか!
先輩にこんなに面倒みてもらっていいの!?
先輩ってインテリアの勉強をしに図書館に来たんじゃ…。
それなのに私の夏休みの課題に付き合わせてしまって。
「先輩ごめんなさい」
「ん?急にどうした?」
「先輩その…インテリアの勉強するんじゃないんですか?それなのに私の宿題を…」
なんで今頃気づくんだろう。
迷惑かもしれないのに。
「インテリアの本を図書館に借りに来ただけやし、それに俺、陽依の力になりたかってん」
先輩は優しく微笑んだ。
私の胸の鼓動は急速に拍数を増す。
「どうして、私なんかに?」
どうして一後輩である私にそこまでしてくれるんですか?先輩。
「そ…それはだな…それは…」
「それは?」
「それは!」
≪本日は図書整理のため、5時に閉館します。本をお借りになる方は速やかに受付にきてください≫
図書館アナウンスが、静かな館内に響き渡る。
「…っと、もうすぐ閉館やな…俺本借りてくるわ」
「あ、私も行きます」
私は急いで帰る準備をすると、先輩のあとについていった。

