「パパなんか嫌いだ!嫌いだ!嫌いだ!嫌いだ!」
霊安室の扉を乱暴に開いて、俺は外へ走った。
今さら後悔しても遅いんだよ親父!
そう思いながら、ひたすら走った。
行く場所なんてどこにもない。
ただ当てもなくがむしゃらに俺は走っていた。
ドンッ!
前を見ずに走っていたから、誰かにぶつかってしまった。
俺はただよろけただけで済んだけれど、ぶつかった相手は尻もちをついている。
同い年ぐらいの女の子だった。
よく見ると、膝や腕にかすり傷が目立つ。
“僕のせいだよな”
「だいじょうぶ?」
俺は、その子に手を伸ばした。
「うん」
少し、上ずった声の返事が聞こえ、俺の手を掴んでその子は立ちあがる。
立ってもう一度女の子を見ると、やっぱり傷が痛そうだった。

