ゆっくりと夏の日差しを浴びながら歩いていると、見覚えのある景色が見えてきた。
…この道知ってるな。
なんやったっけな。
「確か…この先を歩いて行くと、右の方にボロアパートがあって…」
その裏に広い公園があって…
歩いて行くと、俺が思っている通りに、ボロアパートがあり、公園があった。
ここは、俺が昔住んでいたところの近くなのか。
電柱には≪○○病院≫と看板が貼られている。
ここは母さんが亡くなった病院のある場所。
…だとしたら、ここは俺が
俺が初めて人を好きになった場所や。
間違いない。
ここで、あの子に出会ったんだ。
ぎゅうっと胸を締め付ける感覚。
忘れもしない。
あれは、俺がまだ幼くて、母さんが永遠の眠りに付いた日のこと。

