ヒヨリ?何ぼーっとしてるネ!おいていくデスヨ」


「あっ!ごめんごめん!」



先輩とジュディは私を心配そうに見ていた。

「次はあれしたい!ユータ!」

私がついてくるのを確認したジュディは次の屋台を指差して、藤井先輩の腕に自分の腕を絡めて、引っ張って行った。


「ちょ、こら待てジュディ!」




呼び捨てにするの、私だけじゃないんだ。

そうだよね。

うん。

先輩みたいに人懐っこい人だったら、自然と呼び捨てにするよね。

うん。


…でも、なんだかさびしい気分になるのはなぜだろう。


おっと、下ばっかり向いていたら先輩たち見失っちゃう。



浴衣が着崩れしないように、気遣いながら走って追いつくと、先輩とジュディは射的の列に並んでいた。


「陽依大丈夫か?」

「はい!」


「ちょっと、陽依こっちくるデス」


やっと、先輩のところに追いついたかと思うと、ジュディが私の腕を引っ張って屋台の裏へと連れて行った。

「どこいくねん!」

「ユータはならんでるデース」



周りに人がいないことを確認すると、ジュディはニコっと微笑んで


「ヒヨリ!グッジョブね!私が一人でお祭来てることいつ知ったデスカ?ヒヨリは本当に恋のキューピットね!」


と飛び跳ねて喜んだ。


「え?」


「ヒヨリが私のためにユータと引き合わせてくれたんデショ?」


「えっ違「今から2人であそぶから!ヒヨリは任務終了ネ!thank you~」


私の声にかぶせるようにジュディはそう言うと、手を振って去って行った。


サンキューって。

任務終了ってなに?