藤井先輩と私。

 
ぽつーん。


茫然としたままの私と先輩が残る。


「…台風みたいなやつやな」


「は、はい」


しばらく2人とも無言だった。




「…俺らも帰るか?帰りながら話そう」


「はい」

そういえば、先輩私に用事があるって言ってた。


なんだろう。


靴箱の位置が違うので、正面玄関で待ち合わせすることになった。

靴箱へ行くと、壁にもたれている人影がいた。



ユカだ。



「あれ?ユカ帰ったんじゃ…」

「あんたが心配だから戻ってきたの」

ユカ、訂正するよ。
ユカは薄情者ではありません。


「ジュディに負けないようにがんばりなさい」


「ん?どういうこと?」


「……はぁ。あんたはつくづくおめでたいわね」


ユカ様、なにをおっしゃってるのでしょう。


「まだ気づいてないわけか…、まぁ、他人から教わるようなことじゃないし、言及はしないけど」


もたれていた体を起こして、私の方に向き直ったユカは、人さし指を私の額にくっつけた。


「ユカ?」


「ちょっとは自分の気持ち考えなさい」


「えっユカ?」


「じゃ私は、帰る」


ユカは校舎から出て行った。

なにが言いたかったのかな…。