「よかったじゃない。わだかまりがとけて」

ユカの言う通り、パパさんと先輩のわだかまりがとけて本当によかった。

まだ少し、距離はあるけれど、人生は長いんだもの。
どんどん縮まって行くと思う。

パパさん帰り際に「また来てもいいか?」って言ってたし。

絶対大丈夫。








「それで、藤井先輩とはどうなったの?」




「どうなったって?あのあと私も帰ったけど」




「帰ったってアンタねぇ……ったく」


ユカは綺麗にセットされた頭をワシャワシャとかくと、呆れた声を出した。

そして「そうよねぇ…陽依だもんね…」と小さくつぶやいたかと思うと「藤井の奴せっかくのチャンスを…逃しおって」と意味不明なことを言った。


「ユカ?」

「ん?なんでもないの。こっちの話」

変なユカ。

「そういえば、ユカは委員長と遊んだりしたの?」


「…………」


「ユカ?」


ユカの返事がない。

右横にいるユカを見ようと体を向けると、そこには誰も立っていなくて、遥か後方にユカの姿を発見した。

もしかして、委員長となにかあった!?


心配になって駆け寄る私。



うつむいたままのユカの前に立つ。



「ユ…カ?だいじょう「聞いてよーー!ひぃよぉりぃ~」




は…い?



「貴光ったらねぇ、貴光ったらぁホントかっこよすぎるの!優しすぎるの!もぉ私をキュン死にさせるつもりよぉ~私がさぁ、『優しすぎるよ~ずるいわ』って言ったら、顔真っ赤にしてね!もぉ確信犯に違いないわって」




それから教室に着くまで、委員長とユカのノロケ話に付き合わされた私でした。


ユカ…さっきのクールさはどうしたの?

委員長のことになったら豹変するのそろそろやめてほしいよ。