「へぇ~そんなことがあったの…夏休み初日から大変だったわね」


「何その棒読みなセリフ。他人事だと思って」

「だって他人事だもの♪」


あの日から、ちょうど二週間経ち、今日は8月1日登校日。
私とユカは久しぶりに待ち合わせをして高校へ向かっております。




「で、パパさんと妹さんは?」

ユカ、他人事とか言ってるけれど、それほどまで無関心ではないらしい。


「うん。パパさんが連れて帰ったよ」


あのあと、少し空気が柔らかくなって、藤井先輩の「陽依、昼飯食ってくか?」という言葉に、「私お好み焼き食べたいです」と素直に甘えさせていただき、杏奈ちゃんも呼んで4人でお好み焼きを作って食べた。

ぎこちないながらも、楽しかったなぁ。

杏奈ちゃん、部屋に入ってきたとき、藤井先輩とパパさんが優しい顔をしてて、驚いて泣いちゃってたもん。

私も思わずもらい泣きしそうになった。


お好み焼きを食べ終えて、私と杏奈ちゃんは2人で食器とかの片づけをしにキッチンへ行って藤井先輩とパパさんを2人きりにしてあげた。

いらぬ気づかいだったかもしれないけれど、リビングへ戻ると、険悪な雰囲気はなくて、少しだけ2人の距離が近くなっていたからホッとした。


それから、嫌がる杏奈ちゃんを連れてパパさんは帰って行った。大阪に。


「藤井先輩、一緒に帰らなくていいんですか?大阪」

気になって聞いてみたら、

「俺の夢はここにある。……親父も『頑張れ』言うてくれたしな」

と照れくさそうに笑ってた。