「でも…母さんが死んで俺っ、もう親父の事信じられへんようになって…」


うつむく先輩。


「先輩!先輩はいつまで昔のパパさんばかりを見ているんですか?」


「…陽依?」


私はドカドカと先輩の前まで歩いて、座っている先輩の頬に両手を置いてグイッとパパさんの方へ向かせた。

すごく失礼なことしてるけれど、あとであやまればいいや!





「“今”をちゃんと見てください!」



「今?」



「パパさんは、昔と同じですか?」


「親父は…………昔と……違う」


「パパさんは、藤井先輩を信じるって言っています」


「あぁ言ってた。俺の夢応援してくれるって…」


「でも先輩、変わらないものが一つだけあるんじゃないですか?悪いことではなく良い事で変わらないものが」



たったひとつだけ、先輩とパパさんの間で変わらないものが、きっとある。








































「俺は親父を尊敬してる」










「俺が、親父に対する尊敬の想いは何一つ変わってへん」



藤井先輩は、そう言うとまたうつむいて、小さな声で「親父のこと……本当は嫌いやない…」とつぶやいた。



「悠太…」