「…はははっ」


先輩の方から、乾いた笑い声が聞こえる。


「妹の次は、親父かよ。…いい加減にしろ」



長くて、重い沈黙が3人の間に流れる。


…私、ここにいていいのかな。
邪魔ものだよね。

親子水入らずってところに、私なんかがいたら…。


少しずつ後退して、さらっと消えちゃおう。


そろーっ……動かない。




ピクリとも。




手元を見ると、パパさんが私の腕を掴んだまま藤井先輩と対峙していた。


パパさん。どうか手を離して。


そうだ。

ここはちゃんと挨拶してから去っていけばいいんだ。
それにこんな道の真ん中で立ち話もあれだし。

「あの…私はこれで。道の真ん中で立ち話もなんですし、お二人お部屋で話された方がいいのでは?」


重苦しい沈黙の中そう私が言うと、藤井先輩は


「………陽依も一緒にいてくれるなら、親父と話す」

と言いました。


あれ…。

私もしかして、帰れない?


「そうだ。君がいてくれたほうが、僕も安心だよ」


おい。

パパさんまで。

藤井先輩はマンションの方へ無言で入って行った。
それに続いて、私とパパさんもマンションの中へ入る。