藤井先輩と私。

 
「いけないもなにも、ファンクラブ規則第236条に違反してるだろーが!」


ふぁんくらぶ…きそく!?



「えっ?」


「ファンクラブ規則236条第2項、藤井先輩を愛でる者、藤井先輩の家への立ち入りを禁ず」


愛でる者って…。

……私はいつ、ファンクラブに属したんだろう。

そもそも、楠木さんが住所を渡したんだよ。

なんか矛盾してないか?


「楠木さんが住所の紙くれたじゃないですか。だから家に…」


「住所は教えたが、家の中に入れとは言ってない」


そんな横暴な。


「というわけでだ。今から貴様には規則を破った罰を受けてもらう」


えぇぇぇえぇぇぇ…。

罰って、痛い事!?痛い事!?痛い事!?


だよね。きっとそうだ。

だって楠木さんヤンキーだもん。

怖いもん。

根性焼き!?

それとも爪剥ぎ?

あぁ!まさかの…釜ゆで…。


想像しただけでも鳥肌が立つ。


「こっちにきな」


「嫌です!嫌です!」


私は必死で屋上の端っこへ逃げた。

ドアのちょうど前に楠木さんがいるから、ドアからは逃げられない。

楠木さんへ勢いで突っ込む→死

屋上から飛び降りる→死

考えられる逃げ道はどちらも死ぬ確率の方が大きい。