「私が聞いてきましょうか?」
ついポロっと口からこぼれた言葉。
本当につい言葉にしてしまった。
私だって、直接聞くのなんだか怖い。
けれど、もしかしたら本当じゃないかもしれない。
「いいの?橋宮さん」
「はい」
でも、誰かが確かめなければ、ファンクラブのみんなも楠木さんも前に進めないと思う。
ファンクラブの存在自体怖かったけれど、楠木さんの会員に対する想いとか聞いて、なくなってほしくないっていう自分もいた。
楠木さんの役に立ちたい、それに…藤井先輩の真実が知りたい。
「これ、藤井先輩のマンションの住所」
私は楠木さんから、住所の書かれた紙を受け取ると、急いで階段を駆け降りた。
ここからそう遠くない。
靴を履いて、大地を蹴って先輩のマンションを目指す。
教えてください。先輩。
あの子は、先輩の彼女なんですか?

