藤井先輩と私。

 
「そして、翌朝。つまり今日、マンションから2人で仲良く手をつないで出てきたらしいわ」


それって…。

泊まった?


「えっだって今日、藤井先輩風邪でお休みって」


「どうやら彼女とデートするために嘘をついたらしいわ」


そんな。


やっぱり彼女だったんだ。



お似合いだったもんね。なんか2人。


なんでだろう…。


胸がズキズキ痛い。


苦しい。


「藤井先輩が彼女に本気だとしたら…ファンクラブも解散しなくちゃいけないわ」


えっ?



「邪魔とかしないんですか?」


「先輩が本気なら、私たちは邪魔しない。できるわけないじゃない?好きな人が幸せならばそれでいい。それが私のお姉様が決めた最大の守り事」



「下心アリアリで近づく女だったら地獄の底まで追い払うけれど…」

そう付け加えて楠木さんは黙ってしまった。


「藤井先輩に確かめたんですか?その人が彼女だってこと…」


私がそう尋ねると、


「直接聞けるわけないでしょ?本人に直接なんて聞けるわけないわ!もし本当にそうなら、聞いた人が一番傷つくじゃない!私もファンクラブのみんなもそんなことできないわ」


と言って、自嘲的にわらった。

「弱虫でしょ?ファンクラブ会長ともあろう私が、こんなことで怖じ気づいてるなんて」