藤井先輩と私。

外に出ると、自分が余計なことしてしまったことに、また思い知らされた。





「ねぇ!あの人、超カッコ良くない?」
「やばーい、王子様じゃん」




道行く女の子たちや、主婦までが頬を染めていく。


「なんか、見た目が変わったからかな。少しは自信がもてそうだよ」


「………………」


「髪の毛とかめんどくさくて切らなかったんだけど、切った方が涼しいしいいな」


「……………」


だんだん、イライラしてきた。


私はこんなに小西くんのこと好きなのに、こんなことするの小西くんだけなのに、全然気づいてくれない。



「クラスのやつらにもあの美容室つれていけば、うちのクラス華やかになると思うよ。それに俺、本原のこと…「いい加減にして!」



「私は、そんなの知らないわよ。人のことなんか知らない!私帰る!」



私は小西くんを残して走って帰った。


そして、翌朝朝、学校へ行くと案の定変わった小西くんは大勢の女の子に囲まれて、たじろいでいた。


その横をまるで他人のように、通り過ぎる私。

小西くんは何か言いたげにこっちを見ていたみたいだったけれど、見えないふりをして席についた。











「………と、こういうわけよ。陽依」