「ユカちゃん!彼、できたわよ」
それから1時間ほどして、さっちゃんが私を呼びに来た。
雑誌を棚に直して、小西くんの元に向かう。
「見違えるほど変わったわよ。もう“もさっ子”なんて呼べないわ」
さっちゃんは頬を染めて言う。
そんなに変ったのかな。
小西くんが座っている椅子が見えた。
後ろ姿で、髪型が変わっていたからすぐに小西くんだって分からなかった。
「小西くん?」
名前を読んでみる。
小西くんは私の声に気がついて、立ちあがった。
そしてこちらを振り向く。
「………うそ……」
まぎれもなく、白馬に乗っていそうな男子ナンバーワンがそこにいた。
さっきは前髪をあげてメガネを外したところを見ただけでイメチェンすればどうにかなるって思ってたけど…。
それ以上だ。
「ねっ?イケメン君よ。彼。ユカちゃんいいの捕まえたじゃない?」
さっちゃんはキャキャキャと一人で盛り上がっている。
「どう…かな?本原」
小西くんは恥ずかしそうに聞いてきた。
「………こんな…頼んでない…」
こんなにカッコよくしてって、頼んでないよ。
こんなんじゃ…みんな小西くんのこと…。
「え?」
ハッ…
なに言ってるんだろう。
「似合ってるよ。あれ?メガネは?」
「コンタクトにしてあげたのよ。あのメガネじゃイケメンが台無しじゃない?」
何でもそろってる美容院だね。
「帰ろう。小西くん」
「うん!ありがとうな。本原!」
小西くんの笑顔は、すごく輝いていた。

